
- テーマ: 元障害者雇用責任者が語る、社員が定着する会社の仕組み
- プレゼンター:木下文彦(ラグランジュサポート株式会社 代表取締役)
- 開催日:2026年7月6日(月曜)18時30分から
- 開催地:都内会議室(八丁堀駅徒歩5分)
内容概要
- 「障害者雇用」のノウハウをすべての社員の定着に活かす
- 離職を防ぐための具体的な組織づくりのフレームワーク
- 「採用競争」から「定着競争」の時代を生き抜くヒント
木下文彦(ラグランジュサポート株式会社 代表取締役)

■経歴
木下文彦(ラグランジュサポート株式会社 代表取締役)
ラグランジュサポート株式会社 代表取締役
ラグランジュサポート社労士事務所 代表
社会保健労務士・中小企業診断士
大手リース会社で営業、支店長を経て人事部障害者雇用責任者に。採用・定着・教育研修・評価など、全社70 名の雇用管理全般を担当。
定年退職後に独立し、障害者雇用考え方を元にした「社員が辞めない職場づくり」を支援している。
著書に『従業員300人以下の会社の障害者雇用』(中央経済社)、『人を大切にする経営学用語事典』(共同文化社)、『障害者雇用実務安心パック』(ブレインコンサルティングオフィス)がある。
Podcast『中小企業のための障害者雇用推進室』(毎週木曜日、配信150回超)。
開催概要
「人が採れない」
「せっかく採用してもすぐ辞めてしまう」
「若手がなかなか育たない」
多くの経営者が共通して抱える悩みではないでしょうか。
私は前職で障害者雇用の責任者として、70名を超える障害者の採用・定着・育成に携わり、定着率97.4%という結果を経験しました。その中で気づいたのは、障害者が定着する職場と、いわゆる「健常者」社員が定着する職場には共通した特徴があるということです。
障害者雇用というと特別な配慮や支援が必要な世界と思われがちですが、実際にはそうではありません。職場で起こる問題の多くは、「障害があるから」ではなく、「役割が曖昧」「指示が不明確」「相談しづらい」「評価基準が見えない」といった組織の課題から生まれています。そして、これらの課題は障害者だけでなく、すべての社員の離職やモチベーション低下の原因にもなっています。
今回は、障害者雇用の現場で学んだ経験をもとに、「なぜ人は辞めるのか」「なぜ人は定着するのか」を経営の視点から考えます。
また、私が組織づくりの中で大切にしている「5つの不」と「5つの明」の考え方や、「2.7%の働きやすさは97.3%の働きやすさにつながる」という視点もご紹介します。
さらに、離職率の高い職場と定着率の高い職場では、管理職の関わり方やコミュニケーションにどのような違いがあるのか、社員の「安心感」と「存在感」が組織にどのような影響を与えるのかについてもお伝えします。
人手不足の時代において、企業の競争力を左右するのは採用力だけではありません。これからは「採用競争」ではなく「定着競争」の時代です。
障害者雇用という一見特殊なテーマを入り口にしながら、社員が安心して力を発揮し、自ら成長していく組織の共通点について、具体的な事例を交えながらお話しします。
「社員が辞めない会社には、どのような仕組みがあるのか」
そのヒントを持ち帰っていただける時間になれば幸いです。
開催報告
社員が定着する組織の仕組み〜誰もが定着する会社とは〜
7月6日、ラグランジュサポート株式会社およびラグランジュサポート社労士事務所の木下文彦氏をプレゼンターにお迎えし、第64回定例会が開催されました。
木下氏は、三菱HCキャピタル(旧ダイヤモンドリース)での営業マネージャー職を経て、障害者雇用の責任者に就任。そこで70名を超える障害者雇用を達成し、入社1年後の定着率97.4%という驚異的な実績をたたき出した「雇用の質の向上」におけるプロフェッショナルです。
■ 今日の結論:障害者雇用と一般雇用はシームレスである
障害者雇用と聞くと、「特殊で大変なこと」と身構えてしまいがちです。しかし木下氏の37年間に及ぶキャリアと実務から導き出された結論は、非常にシンプルかつ本質的でした。
「障害者のある人とない人の『雇用管理の根本』は同じ。少しのオプション(配慮)が違うだけである」
定着率97.4%の職場で木下氏が見たものは、「本人の能力や意識を変える」ことではなく、「環境(仕組み・文化)を整える」ことの重要性です。2.7%(法定雇用率)の当事者のための「働きやすさの改善」は、結果として新入社員、若手、シニア、子育て世代を含む「全社員」の働きやすさ向上へと直結するという、経営者にとって目から鱗の視点が提示されました。
■ 人が辞める職場に共通する「5つの不」
定例会では、エン・ジャパンの「本当の退職理由」実態調査を交えながら、社員の本音と建前のギャップが深掘りされました。退職時、多くの社員は「新たな挑戦」「家庭の事情」といった円満退社用の理由を口にしますが、本音のトップは常に「人間関係」や「給与、将来性への不安」です。
木下氏は、人が辞める組織には必ず「5つの不」が存在すると指摘します。
- 不明確な指示(「いい感じにやっといて」という認識ギャップ)
- 不明確な役割分担(誰がどこまでやるのか、ゴールや期待値が曖昧)
- 不明確なルール(属人的な運用やベテラン優遇による不公平感)
- 不適切な叱責(理不尽な責任転嫁や人格否定、またはフィードバック不在)
- 不合理な同調圧力(「昔からこうだから」という違和感を言えない空気、心理的安全性の欠如)
特に「不明確な指示」は受け手への多大な負担となり、指示通りに動けない社員に対して周囲が「意欲が低い」と誤解してしまう原因を作ります。これは障害者雇用に限らず、新入社員やシニア社員の現場でも全く同じ構造で発生しています。
■ 誰もが定着する会社を作る「5つの明」と「承認の力」
では、人が辞めない、イキイキと活躍する組織にするにはどうすればよいのか。木下氏は「5つの不」を反転させた「5つの明」の導入を提唱します。
- 明確な指示 / 明確な役割 / 明確なルール / 明確なフィードバック / 明朗な議論
とりわけ重要なのが、社員の「存在感」と「安心感」を高める仕組みです。人は「存在感(ここにいていいんだという実感)」があると組織に残り、「不安感(見てもらえない、評価されない)」があると去っていきます。
職場の安心感を高めるために、社長が明日からすぐ実践できる具体的な仕掛けとして、以下の3つが挙げられました。
- 挨拶:顔を見て、しっかりと「名前を呼んで」挨拶をする。
- 声掛け:日常の何気ない一言が、最大の存在承認になる。
- 面談(1on1):定期的な対話の場を設け、早期に不安を摘み取る。
成果やアウトプットを褒める「結果承認」や、プロセスを認める「行動承認」も大切ですが、その根底にある「いるだけで価値がある」と伝える「存在承認」こそが、組織の土台を強くします。
■ 事務局より:これからの「残る経営」へ
人材不足が深刻化するこれからの時代は、「採る経営」や「育てる経営」以上に、人が離れない仕組みを作る「残る経営(定着競争)」へとシフトしていきます。
「あなたの会社で一番不安を抱えている社員は誰ですか? その人は何に困っていますか? その人に明日、何ができますか?」という木下氏の最後の問いかけは、参加した経営者の胸に深く刺さるものでした。
人を変えるのではなく、仕組みと環境を変える。誰もが能力を発揮し、自己肯定感を爆上げして輝ける職場づくりへのワクワクする第一歩が、この定例会から始まりました!
プログラム
| 開始時間 | 内容 | 担当 |
| 18:30 | 開会 趣旨説明 | 高田敬久 |
| 18:35 | 自己紹介 | 全員 |
| 18:40 | 元障害者雇用責任者が語る、社員が定着する会社の仕組み | 木下文彦 |
| 19:20 | 質疑応答 | |
| 19:25 | 振り返り | 高田敬久 |
| 19:55 | 閉会 次回予告 |


